㈱アマミファッション研究所 主任研究員 原 暁穂

事業の背景

(株)アマミファッション研究所は、もともと奈良県に所在する肌着メーカーでしたが、事業拡大のために奄美へ工場を立地したのを機に、地元資源を活用した新事業を展開してきました。

平成15年頃から始まった焼酎ブームで生産量が増加して以降、奄美では製造時に排出される黒糖焼酎粕の処理問題がクローズアップされるようになりました。そこで、平成16年に奄美の産学官が集い、「奄美産業クラスター」という組織を立ち上げ、「黒糖焼酎粕の利用化」への取組を開始しました。当社は、この「奄美産業クラスター」の中核企業として参画します。酒粕と違い、黒糖焼酎粕は当時全国でも再利用の前例がほとんど無い中、平成18・19年度は「地域申請コンソーシアム事業」の採択を受け、新たな技術の開発に努めました。鹿児島大学、K-RIP会員である焼酎メーカー(株)奄美大島海運酒造などとの共同開発により健康に役立つ成分「黒糖もろみエキス」の抽出精製に成功しています。その後、鹿児島大学農学部 藤井教授との研究により、黒糖焼酎粕に含まれるポリフェノールに「メラニンの生成を抑制する効果」があることをつきとめ、新商品(あま肌)の開発へつながっていきます。

挑戦とK-RIPの有効活用

同社は、「奄美産業クラスター」への参画を機に、平成17年にK-RIPへ入会しました。奄美の未利用資源(黒糖焼酎粕)を活用した新商品開発に先駆け、衣料品製造で出てくる絹の糸の切れ端を利用した肌用のクリーム「絹の繭」の開発に着手し、平成19年度のK-RIPプロジェクトを活用して製品化に取り組みました。そこで化粧品開発に関する基礎的な知識や技術を蓄積し、その経験を活かして黒糖もろみエキス配合の化粧水「あま肌」を商品化します。商品化にあたり、商品開発後の販路開拓について開発段階からK-RIPに相談し、K-RIPのネットワークに参画する中で、子育て情報誌を発行する(株)フラウと出会います。(株)フラウとの出会いをきっかけに、主婦ネットワークが参画する大規模なモニター調査を行うなど主婦層向けのマーケティングを実施。その結果、口コミなどで主婦層からの支持を徐々に集め、さらに平成24年度にはK-RIP主催の九州環境ビジネス大賞表彰制度において奨励賞を受賞(鹿児島県からの受賞は初)したことにより、新聞・雑誌等でも取り上げられるようになりました。受賞後、取扱い店舗(販売代理店)が約2倍に増え、「あま肌」は着実に売上げを伸ばしています。

将来のヴィジョン

現在は通販や店舗販売などを中心に年間数千本を売り上げていますが、3~5万本販売を目標に掲げ、営業や販路開拓を行っています。今後は、ドラッグストアでの取扱いを目指して、積極的に売り込みを行う予定です。
将来的には、この化粧品製造・販売事業を主力事業の衣料品製造と同等の規模に成長させることが目標です。

Topics

「あま肌」は化粧水・乳液・美容液とライン展開していますが、今後は美白効果を活かした日焼け止めの開発をするべく、準備を進めています。

企業名
㈱アマミファッション研究所
代表者
主任研究員 原 暁穂
創業
1996年
資本金
1,000万円
住所
鹿児島県奄美市名瀬朝戸269-3
主な事業
衣料品及び化粧品の製造・販売