三菱長崎機工株式会社 代表取締役社長 白石公正

事業の背景

下水処理場では水を浄化する過程で大量の有機汚泥が発生し、その処理にかかる費用、又は処理する過程において排出される温室効果ガスの増加する事が全国の各自治体で深刻な問題となっています。

こうした問題を解決するべく、三菱長崎機工株式会社は独自の新技術を応用した『水熱処理プラント』を核として、化石燃料をほとんど使用しないで、下水汚泥を従来の5分の1に減量化させ、そして、処理残渣も燃料や肥料として利用できる下水汚泥処理プラントを開発。

長崎で実証試験を行い、14139時間の運転を経て、処理能力と最適運転条件を確認し、(財)下水道新技術推進機構より、革新的新技術として認証も受けました。同社は、この新しい技術を、1日も早く広く普及させていきたいと思い、PRする場を探していました。

挑戦とK-RIPの有効活用

❶エコ塾の活用

同社の下水汚泥処理プラントの普及の場を探していたところ、K-RIPのコーディネーターと九州経済産業局からエコ塾の登壇を勧められ、2011年9月、「エコ塾」にて下水汚泥処理プラント「メタサウルス」のプレゼンテーションを行いました。エコ塾には環境ビジネスに関心を持つ様々な方が参加され熱心にプレゼンテーションを聞かれており、PR効果が高く、K-RIPが持つ産学官の幅広いネットワークに関心を持ちました。

❷海外ミッションに参加

同社はK-RIPのネットワークに魅力を感じ、翌月10月にK-RIPに入会し、国内展開に加えて、海外展開支援の事業にも参加します。2011年12月、K-RIP主催の「九州-中国山東省環境産業交流ミッション」に参加し、中国山東省済南市で多くの商談を行い、多くの企業から引き合いを受けました。

❸K-RIP海外展開コーディネーターの丁寧なフォロー

その後、K-RIPの海外展開コーディネーター(包振華氏)を中心に、九州経済産業局、ジェトロ福岡事務所、ジェトロ青島事務所等の支援の下、中国山東省政府、山東省環境産業保護協会の協力を取り付け、商談を継続させていた中国企業と現地で具体的なビジネスについて協議を行うことができました。

そして、K-RIPの海外展開コーディネータ-の継続的な支援の下、2012年8月のK-RIP主催「九州-中国山東省環境産業交流ミッション」にて、両国の政府幹部立ち会いの下、山東省環境保護科学研究設計院と業務提携にかかる合意を行いました(MOU締結)。

❹九州環境ビジネス大賞受賞!

また、同じ2012年、同社の下水汚泥処理プラント「メタサウルス」は、地球環境問題に対応した企業の優れた製品などに贈られる第5回「九州環境ビジネス大賞『優秀賞』」にも選ばれ、多くの人にメタサウルスの先進的な取り組み、可能性を広めることに成功します。

このようにK-RIPの支援プログラム、海外展開コーディネーターのご支援を活用して、海外への販路開拓の糸口をつかむことができ、さらにK-RIPの「九州環境ビジネス大賞『優秀賞』」受賞により、ブランドの浸透もはかっています。

(両国の政府立ち会いの下、中国企業と業務提携にかかる合意文書(MOU)に署名)

将来のヴィジョン

現在、山東省の企業と連携し、同社の下水汚泥処理プラント「メタサウルス」の山東省での実証試験に向けて取り組んでいます。この実証試験を経て、山東省、そして、他の地域へも順次導入を進めていき、深刻な中国における環境問題の解決に寄与していきたいと思います。

(実証用の移動式メタサウルス)

Topics

同社では、B-DASHプロジェクト(国土交通省の「下水道革新的技術実証事業(B-DASH)」)の採択を受け、現在、長崎市東部下水処理場において、メタサウルスの建設工事を行っています。2013年春に稼働を予定しています。  本プラントには、完成前から国内外から多く方々から関心を寄せられており、プラント見学者も日に日に増えてきている状況です。本プラントをショールームとして更なる普及に取り組んでいく予定です。

 (長崎市東部下水処理場に建設予定のメタサウルス)

企業名
三菱長崎機工株式会社
代表者
代表取締役社長 白石公正
創業
1975年
資本金
90,000万円
住所
長崎市深堀町1-2-1
主な事業
産業機械・応用機器・環境プラント・計量機器・鉄鋼構造物と関連製品の設計・製造